点をつなぐ、小話

偉い小説家のトルストイという人の言葉で「幸せな家庭の幸せは同じ形をしているが、不幸な家庭は不幸の形がそれぞれ違う」というようなのがあるそうです。でも、小説の中ならともかく、現実のいろいろな家庭に入り込んだ私たちの経験で言いますと、そんな分け方で簡単に分けられるような家庭はありませんでしたし、そもそも幸福とか不幸とか、そんな指標はどんな家庭にも必要ないように思えました。幸せとか不幸とかとは離れて在る暮らしそのもの、そういうものの中に私は置かれていたいと思います。 ーシラク・ド・ウチョテより / 佐藤雅彦「考えの整頓」