日曜の朝の、小話

「図書館」は、その規模がどのようなものであっても、本来的に、際限のないものである。というのも、「図書館」は常に(どれほどうまくつくられていても)、欲求を下回ると同時に上回るからである。「図書館」にはある癖があって、欲しい書物は決してない、かわりに別の書物を提供する。「図書館」は、欲望の対象の代理物に満ちた空間なのである。「欲望」を秩序に従わせるという意味では、「図書館」は、読書の冒険に対して、現実的なものである。「図書館」は、常に大きすぎるか小さすぎて、「欲望」とは根本的に合致しないのだ。「図書館」から快楽、充足、悦楽を引き出すためには、主体は、自己の「想像的なもの」を吐露することをあきらめねばならない。 ーR. バルト「読書について」